今から50年以上も昔。
1970年代はエレキギターの選択肢がとにかく少なかった。
今も昔も田舎で生まれ育った身として覚えているのは、やっとの思いで数万円のギターを買ったとき喜びを、10代の記憶として鮮明に残ってる。
ギターのブランドと言えば、Gibsonだ、Fenderだの2大巨頭ではあるが、そんなもの売ってもないし買えるわけもなかった。
当時は為替が1ドル240円台前後だったし、お金もなかった。
Gibsonだ、Fenderだなんて買うには50万とか60万もした。そんなのどうやったって買えるわけがなかった。
買えるのは1万円や2万円で買えるテレキャスターだったし、それが良かった。グレコだFERNANDESだって言って、憧れていた
田舎で土地があったから、3人でお金を出し合って、ギターやベース、ドラムを買い揃えた。
工場の空いたトタン屋根の倉庫みたいなところを使って良いと言われたのでそこで遊んだ。誰にもうるさいだなんて文句も言われなかった
当時の国内ギターにはそういう背景があった。
海外メーカーはまだ進化をしようとしていた。新モデルを出してばかりいた。
今のように50年モデルなどの過去作のシリーズを出しているわけではなかったし、そういう考えに消極的だった
そこで国内の木工加工をしていたところが、マーチンやGibsonを買ってきて、分解して、研究をしてコピーモデルを作っていった
日本の職人の熱意や技術力、価格帯も相まって人気が出た。
そのピークがおそらく80年代
この頃は流石に海外メーカーも対抗をするようになった。Fender Japanが生まれたりした頃だ。
海外メーカーがコピー品の駆逐のために自社のジャパン代理店を作ったり、ライセンス契約をしたりして徐々に変化が訪れた
安くてもFenderって名前のギターが買えるようになってきた
バブル崩壊と共に円高になり1ドル100円台となった80年代後半〜90年代
海外品も安く買えるようになった世界だ。
「本物」だって選択肢に入る
00年代にはその流れが加速する
入門用に国産ブランドギター、プロは海外の本物だった
ちょっと我慢してお金を出せばGibsonだって、Fenderだって買えた。夢じゃなくなった。
一方で、入門価格帯は安さで勝負するために、東南アジアの勢力が強くなってくる。
中国、韓国、インドネシア製のギターが安かったから
国産ブランドはここが厳しい。コピーモデルだけでは影が薄くなってしまっていた
2000年後半はよく覚えている。
過去にない円高になりGibsonだってFenderだって、カスタムショップ製が30万代で全然買えたんだ
10万出せばUSAは買えたんだ。ギターを始めるには2,3万円あれば十分だった。
もしかしたら、この頃が一番楽器が安く買えたいい時代だったのかもしれない
2010年代に差し掛かる頃、Fenderの値上げが増え、GibsonがGibsonJapanを作ったりして少し方向性が変わってくる。
楽器の値段が、またじわじわと上がり始めた。
そして近年は円安になり、物価も上がって、希少価値の高さが勝負となってくる。
海外の価格に引っ張られて、日本では異様な値上げが進む。
海外はその価格で買えるんだから、日本プライスのお値打ちギターは海外勢が買い漁ってしまう。
国外からの仕入れは力負けしてしまう
今は国産ブランドのエントリーモデルだって10万してる。海外ブランドなら30万だ。カスタムショップなんて60万以上だ
そう思うと昔に戻っただけな気もするんだ
でもお金を出しさえすれば本物が手に入るんだなぁって
ーそんな話をベロンベロンになりながら、聞いていた土曜日の夜でした